残業が少なく人間関係も良好なのに、この先のキャリアが不安になることがあります。働きやすさと成長機会を別の軸で整理すると、自分に足りない条件を言葉にしやすくなります。
本記事では、いわゆる「パープル企業」という言葉の限界と、若手の意識調査の読み方を整理します。転職だけに絞らず、社内異動や学び直しなどの選択肢も考えます。
情報は2026年10月21日時点のものです。制度・労働条件・統計は変わることがあります。出典は記事末尾にまとめています。
転職・退職の判断は、ご自身の状況に合わせて行ってください。労働条件のトラブルは、労働基準監督署や総合労働相談コーナーで相談できます。記事中の人物・会社・試算は、特記のない限り説明のための例です。
関連する解説動画には広告・プロモーションが含まれます。
- 「パープル企業」には公的な定義や企業数の統計がありません。
- 働きやすさと成長機会を、それぞれの条件で確認します。
- 転職・社内異動・学び直しを自分の制約と合わせて比べます。
基礎知識:働きやすさと成長機会
負荷の少なさと、能力を伸ばせる仕事があることは別の軸です。会社の呼び名だけで良し悪しを決めず、実際の仕事を確認します。
調査への回答は、その対象者が感じたことを示します。不安を感じる割合は、実際に能力が身についていない人の割合とは異なります。
職種や業界が変わっても生かしやすい仕事の進め方に関する力を整理する考え方です。厚生労働省のツールでも振り返ることができます。
流行語を会社の判定基準にしない
「パープル企業」は、働きやすい一方で成長や昇給に不安がある職場を説明する際に使われる言葉です。明確な公的定義や統計はなく、特定の企業をこの言葉だけで評価できるものではありません。[s1]
働きやすさと成長機会を分ける
3つの会社のイメージ
| 項目 | ブラック | ホワイト | パープル |
|---|---|---|---|
| 労働時間・人間関係 | きびしいことも | ととのっている | ととのっている |
| 成長の機会 | 会社しだい | ある | 少なめ |
| 昇給・やりがい | 会社しだい | ある | 期待しにくい |
※この動画での整理(公的な分類ではない)
残業が少ないことやハラスメント防止の取り組み自体は、改善として受け止める必要があります。それらの取り組みが成長機会を失わせたという因果関係まで、調査から言い切ることはできません。[s5][s6]
若手の不安の数字を正しく読む
リクルートワークス研究所の2022年の調査では、大手企業の新卒入社から3年目までの36.4%が職場を「ゆるい」と感じていました。対象は大手企業の若手であり、国内すべての企業の割合ではありません。[s3]
会社の調査で見る若手の受け止め
AlbaLinkの調査(2023年・512人)
出典:AlbaLink「ゆるブラック企業に関する意識調査」(会社の調査・インターネットでの任意回答)
同調査には、このまま仕事をしていても成長できないと感じる回答もあります。不安の存在と実際の能力は別であり、パープル企業の従業員だけを調べた数字でもありません。[s3]
今の仕事で何を得られるかを確認する
担当できる仕事、任される範囲、振り返りの機会、評価と昇給の決まりを具体的に確認します。働きやすいという長所を残しながら、成長の機会を増やせるかを考えるためです。
自己啓発やキャリア相談の利用状況は、厚生労働省の能力開発基本調査でも扱われています。学ぶ時間を増やすだけでなく、何を目指して、どの仕事で生かすかを相談すると選択肢を整理しやすくなります。[s8]
社内の選択肢と転職を同じ条件で比べる
社内異動、業務の広げ方、学び直し、副業などを、時間や家計の制約と合わせて検討します。副業は就業規則、教育訓練給付は対象条件や受講前の手続きを確認する必要があります。[s9][s11]
考えられる選択肢を整理
どうする?
職務経験を整理するには、厚生労働省のポータブルスキル見える化ツールなども使えます。現在の環境で得られる経験を書き出したうえで、希望する働き方との差を確かめてみましょう。[s12]
実践のポイント・まとめ
残業ゼロの会社は パープル企業?
だから、残業の少なさだけで、パープル企業とは決められません。ちなみに、はっきりした定義は、公的にはないです。はやりの言葉です。
1分のショート動画で見る同じ仕事に飽きた 異動を頼むには?
みっつめは、それが会社にどう役立つか。上司も、話を通しやすくなります。異動できるかは、会社の制度しだいです。まず話してみることが第一歩です。
1分のショート動画で見る出典・参考文献
- [s1] @DIME「「パープル企業」は理想の職場なのか?」 ↗ dime.jp
- [s2] AlbaLink「ゆるブラック企業に関する意識調査」 ↗ prtimes.jp
- [s3] リクルートワークス研究所「大手企業における若手育成状況調査報告書」 ↗ works-i.com
- [s4] パーソルビジネスプロセスデザイン「退職理由の本音に関する実態調査」 ↗ persol-bd.co.jp
- [s5] 厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」 ↗ mhlw.go.jp
- [s6] 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」 ↗ mhlw.go.jp
- [s7] リクナビNEXTジャーナル「「職場がゆるい」と感じたらどうする?」 ↗ next.rikunabi.com
- [s8] 厚生労働省「令和7年度 能力開発基本調査」 ↗ mhlw.go.jp
- [s9] 厚生労働省「副業・兼業」 ↗ mhlw.go.jp
- [s10] 東京商工リサーチ「「兼業・副業」容認は中小企業58%、大企業33%」 ↗ tsr-net.co.jp
- [s11] 厚生労働省「教育訓練給付金」 ↗ mhlw.go.jp
- [s12] 厚生労働省 job tag「ポータブルスキル見える化ツール」 ↗ shigoto.mhlw.go.jp
- [s13] 厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」第6 手数料 ↗ mhlw.go.jp
- [s14] 厚生労働省「令和7年 雇用動向調査結果の概況」 ↗ mhlw.go.jp
- [s15] パーソルキャリア doda「転職理由ランキング【2025年版】」 ↗ persol-career.co.jp
- [s16] 厚生労働省委託 キャリア形成・リスキリング推進事業「個人向け支援」 ↗ carigaku.mhlw.go.jp
- [s17] 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 ↗ mhlw.go.jp
検証ファクト一覧を表示する(全17項目)
| ID | 確認した事実・仕様 | 出典 | 注意・補足 |
|---|---|---|---|
| F1 | パープル企業は、ブラックの理不尽さ(長時間労働・不払い残業・パワハラ)はなくなっている一方、やりがい・成長・昇給が期待しにくく、先のキャリアが描きにくい企業を指す言葉。「ゆるブラック企業」とも。明確な定義はない | [s1] | |
| F2 | 「ゆるブラック企業」=「ラクで居心地はいいが、社員が成長できず収入も上がらない会社」(AlbaLink、2023年) | [s2] | 会社の調査・512人・任意回答(代表性なし) |
| F3 | 大手企業(従業員1,000人以上)の新卒3年目までの36.4%が、職場を「ゆるい」と感じる。叱責が年に数回以下の人は52.7% | [s3] | 2022年3月。「ゆるい」=負荷が高くなく成長実感も低い状態。パープル企業の割合ではない |
| F4 | 同じ調査で、「このまま所属する会社の仕事をしていても成長できないと感じる」は36.9%、「別の会社や部署で通用しなくなるのではないかと感じる」は45.6% | [s3] | 気持ちの調査。実際に通用しないかは別 |
| F5 | 直近1年以内に退職した20〜59歳5,100人に退職理由の本音を聞くと、「仕事にやりがいを感じない」55.1%、「キャリアの選択肢が少ない」54.7%、「自己成長が感じられない」54.5%が上位(5段階の「当てはまる」以上の合計)。会社に伝えた理由では「自己成長が感じられない」は12.4% | [s4] | 退職した人全体・パーソルBPDの調査(2025年3月)。パープル企業の人の数字ではない |
| F6 | ゆるブラック企業で働きたくない理由(働きたくない348人)は、成長できない134人・収入が増えない123人。働きたい人は164人で、理由は「ストレスが少ない」48人・「WLBがとりやすい」40人 | [s2] | 512人のネット調査(任意回答)。参考 |
| F7 | doda の転職理由ランキング(2025年版)1位は5年連続で「給与が低い・昇給が見込めない」36.6% | [s15] | dodaの調査(2024年7月〜2025年6月に転職した人) |
| F8 | 時間外労働の上限規制は2019年4月(中小は2020年4月)、パワハラ防止措置の義務化は2020年6月(中小は2022年4月) | [s5] [s6] | |
| F9 | 古屋星斗さん(ワークス研)は、職場環境が改善されたこと自体は間違いなく良いこと、と言う | [s7] | |
| F10 | 副業の可否は会社のルール(就業規則)しだい。国のモデル就業規則は副業・兼業の規定を置く。兼業・副業を認める会社は56.4%(中小58%・大企業33%) | [s9] [s10] | TSRの調査(2025年12月・5,524社) |
| F11 | 自己啓発をした正社員43.3%。問題点は「仕事が忙しくて余裕がない」58.5% | [s8] | |
| F12 | キャリアの主な相談先は上司(正社員69.5%)。キャリアコンサルティングを受けた正社員14.8%。無料なら使いたい人は57.9% | [s8] | |
| F13 | キャリアコンサルティングの個人向け相談は厚労省の事業で無料。ポータブルスキル見える化ツールは入力約15分・9要素 | [s16] [s12] | |
| F14 | 教育訓練給付金は雇用保険の制度。条件があり、受講の前に手続きが要る | [s11] | |
| F15 | 転職エージェントの手数料は、採用が決まった会社が払う。求職者からは原則取れない | [s13] | |
| F16 | 転職した人の賃金は、前の職場と比べて増加40.8%・変わらない25.5%・減少31.0% | [s14] | 割合で金額ではない・パートを含む・年齢が原因とは言えない |
| F17 | 労働条件のトラブルは総合労働相談コーナー(無料・予約不要)に相談できる | [s17] |
※ 「パープル企業」は公的な分類ではありません。本記事の比較軸や選択肢は説明のための整理です。
※ 調査ごとに対象者・実施時期が異なります。不安の回答を、能力や転職の必要性の判定には使いません。
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