新人の初任給が自分の月給に近づいたとき、まず確認したいのは金額の内訳です。同じ月給でも、固定残業代や手当、賞与の条件が違えば、待遇の比較は変わります。
本記事では、公的な賃金統計と企業の調査を分けて読み、初任給引き上げと既存社員の昇給を整理します。上司に確認する前に準備したい材料も紹介します。
情報は2026年10月23日時点のものです。制度・労働条件・統計は変わることがあります。出典は記事末尾にまとめています。
転職・退職の判断は、ご自身の状況に合わせて行ってください。労働条件のトラブルは、労働基準監督署や総合労働相談コーナーで相談できます。記事中の人物・会社・試算は、特記のない限り説明のための例です。
- 基本給・固定残業代・手当・賞与の条件をそろえて比べます。
- 勤続年数別の平均は、同じ人の昇給を追った数字ではありません。
- 不公平感のアンケートは、逆転が起きた割合とは異なります。
基礎知識:給与の内訳
月給という表示には基本給だけでなく、固定残業代や手当が含まれることがあります。総額を見た後に、何の対価なのかを確認します。
勤続年数の異なる人たちをまとめた平均は、個人の給与の推移とは異なります。入社年次だけでなく、年齢や職種なども関わります。
採用時の給与と、在籍社員の昇給は会社の制度として別々に決まる場合があります。自社の給与規程や評価制度を確認することが大切です。
全国の平均では何が分かるか
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、勤続10〜14年の所定内給与は約33.4万円、勤続0年は約27.5万円でした。勤続0年には中途採用者も含まれ、新卒の初任給だけを示す数字ではありません。[s5]
勤続年数別の所定内給与
勤続年数別の月給の平均(所定内給与)
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」第7表(全学歴・男女計・企業規模計)
平均で逆転していなくても、個々の会社の給与体系が同じとは限りません。この表を、自分が今後必ず同じように昇給するという予測にも使わないようにします。[s5]
初任給のニュースを内訳まで確かめる
企業が発表する初任給には、勤務条件や固定残業代の扱いが併記される場合があります。金額だけを切り出すのではなく、基本給、想定する働き方、賞与まで確認する必要があります。[s3]
給与の比較でそろえる項目
同じ月給30万円でも中身がちがう(架空の例)
| 項目 | ずんだ | 新人 |
|---|---|---|
| 基本給 | 30万円 | 25万円 |
| 固定残業代 | なし | 5万円 |
| 月給の合計 | 30万円 | 30万円 |
※イメージ。固定残業代は、決まった時間分の残業代をあらかじめ含める仕組み
架空の例で、どちらも月給30万円でも、一方に固定残業代5万円が含まれるなら、基本給の条件は同じではありません。額面の総額を並べる前に、所定の時間と追加の労働への対価を分けます。
不公平感と実際の逆転を混同しない
Job総研の2026年の調査で紹介される不公平感は、新卒が自分より高給だった場合という仮定への回答です。実際に給与が逆転した人の割合や、全国の会社で逆転した割合ではありません。[s2]
仮定の質問として読む際の注意
帝国データバンクやマイナビの調査も、それぞれ対象や質問が異なる会社の調査です。異なる調査の数字を足したり、個人の昇給率とそのまま比べたりすることは避けます。[s1][s4]
評価と昇給のルールを確認する
給与明細と求人の条件をそろえ、自分の担当業務、成果、今後任される仕事を整理しましょう。そのうえで給与規程や評価基準を確認すると、希望する待遇を具体的に相談しやすくなります。[s8]
転職を考える場合も、現在の職場と応募先の条件を同じ項目で比較します。賃金や労働条件について困っているときは、総合労働相談コーナーなどで相談できます。[s9]
実践のポイント・まとめ
同じ月給30万円 でも中身がちがう
ふたつめ。基本給、手当、固定残業代の3つに分けます。みっつめ。固定残業は何時間分かも見て、働く時間をそろえて比べてください。
1分のショート動画で見る出典・参考文献
- [s1] 帝国データバンク「初任給に関する企業の動向アンケート」 ↗ tdb.co.jp
- [s2] Job総研「2026年 新卒の給与に関する意識調査」 ↗ prtimes.jp
- [s3] サイボウズ「2027年新卒初任給を月給40万円以上に引き上げ」 ↗ topics.cybozu.co.jp
- [s4] マイナビ「2026年卒企業新卒採用活動調査」 ↗ career-research.mynavi.jp
- [s5] 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」 ↗ mhlw.go.jp
- [s6] 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」 ↗ mhlw.go.jp
- [s7] 連合「2026春季生活闘争 第7回(最終)回答集計」 ↗ jtuc-rengo.or.jp
- [s8] 労働基準法 第106条 ↗ laws.e-gov.go.jp
- [s9] 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 ↗ mhlw.go.jp
- [s10] 厚生労働省 job tag「ポータブルスキル見える化ツール」 ↗ shigoto.mhlw.go.jp
※ 月給30万円の内訳の比較は架空の例です。実在の企業や人物の給与ではありません。
※ 賃金統計は所定内給与の平均です。勤続0年には中途採用者も含まれ、同じ人の昇給額を示しません。
※ Job総研の不公平感の数字は仮定の質問への回答です。実際に逆転した割合とは異なります。