2026年の春闘では賃上げ率が5.01%と発表されました。それでも、自分の昇給は月3,000円だけということがあります。春闘の平均と個人の昇給では、対象企業と数字の中身が異なるためです。
本記事では、定期昇給とベースアップ、給与テーブル、企業規模・業界・役職による賃金差を整理します。社内で上を目指すか、転職するかを同じ基準で比べる方法も解説します。
情報は2026年10月8日時点のものです。制度・労働条件・統計は変わることがあります。出典は記事末尾にまとめています。
転職・退職の判断は、ご自身の状況に合わせて行ってください。労働条件のトラブルは、労働基準監督署や総合労働相談コーナーで相談できます。記事中の人物・会社・試算は、特記のない限り説明のための例です。
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- 春闘5.01%は労働組合のある企業を中心とした平均で、定期昇給相当も含みます。
- 個人の給与は、等級、評価、会社の原資、昇格条件の組み合わせで決まります。
- 残る道と転職する道は、年収、働き方、3年後の伸びしろで比較します。
昇給の数字を読むための基礎知識
定期昇給は、年齢、勤続、能力、業績評価など、会社が決めた制度に沿って毎年行う昇給です。ベースアップは賃金表そのものを改定し、賃金水準を引き上げることです。[s9][s10]
春闘の賃上げ率には、定期昇給相当とベースアップ相当の両方が含まれる場合があります。そのため、ニュースの率を自分の基本給へそのまま掛けても、実際の昇給額にはなりません。[s1]
給与制度は会社ごとに異なります。等級ごとの給与幅、評価、昇格条件、会社の人件費予算を確認すると、昇給が小さい理由を分けて考えられます。[s12]
春闘5%は個人全員の昇給率ではない
連合の2026年最終集計では、5,368組合の加重平均は月1万6,400円、5.01%でした。300人未満の組合では月1万2,866円、4.69%で、企業規模による差もあります。[s1]
春闘平均と月3,000円の例
月の賃上げ額をくらべると
出典:連合 2026春季生活闘争 最終回答集計(2026年7月)
賃上げ分が分かる3,732組合では、定昇相当込み5.12%のうち、ベースアップ相当は3.50%でした。ニュースの5%には、もともとの昇給制度による増加も含まれます。[s1]
定期昇給とベースアップの内訳
5.12%の中身(賃上げ分が分かる3,732組合)
また、春闘集計は労働組合のある企業が中心です。厚生労働省の2025年調査では、従業員100人以上の企業の賃金改定率は、組合あり4.8%、組合なし4.0%でした。[s9]
給料は給与テーブルと昇格で決まる
一般的な給与制度では、等級ごとに基本給の幅があり、評価に応じてその範囲内を上がります。上限に近づくと、同じ等級のままでは昇給が小さくなり、上位等級への昇格が必要になります。
定昇とベアが給与テーブルへ与える違い
給与テーブルの例(イメージ)
厚生労働省の2025年調査では、定昇制度がある企業のうち、年齢・勤続などで自動昇給する企業は27.5%、業績評価などによる企業は72.4%でした。複数回答のため、両方を組み合わせる会社もあります。[s9]
等級の上限に近い作った例
ずんだ商事の給与テーブル(イメージ)
図の会社、給与テーブル、月3,000円の昇給は作った例です。実際には評価シート、賃金規程、次の等級の要件を読み、上司へ「何を満たせば昇格できるか」を具体的に確認します。
会社規模と業界でも水準が違う
厚生労働省の2025年調査で、25〜29歳の所定内給与は大企業30.17万円、中企業27.06万円、小企業25.82万円でした。残業代と賞与を除く平均で、会社規模だけが差の原因とは言えません。[s5][s6]
25〜29歳の企業規模別賃金
25〜29歳の月の給料(会社の大きさ別)
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」
同じ年齢層でも、学術研究・専門・技術サービスは33.58万円、情報通信は30.87万円、卸売・小売は27.27万円、宿泊・飲食は25.05万円でした。職種、学歴、地域などの構成も異なります。[s7]
25〜29歳の産業別賃金
25〜29歳の月の給料(業界別の例)
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2025年6月分・残業代と賞与を除く)
自分の会社だけを見て昇給の妥当性を決めず、同じ職種、地域、経験年数の求人とjob tagを使って相場を確認します。[s16]
転職すれば必ず上がるわけではない
厚生労働省の雇用動向調査では、転職後に賃金が増えた人は40.8%、変わらない人は25.5%、減った人は31.0%でした。25〜29歳では増加49.8%、減少23.9%です。[s4]
転職後の賃金変動
転職した人の賃金(前の会社とくらべて・2025年)
出典:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査」
転職した人の集計であり、応募すれば上がる確率ではありません。仕事内容、固定残業代、賞与、休み、転勤、入社後の等級をそろえて比較します。[s4][s13]
年収を上げる四つの道を比較する
選択肢は、社内昇格、待遇の相談、転職活動、スキル形成です。どれか一つに決める前に、次の等級の条件、同職種の求人、足りない技能を並行して確認します。
年収を上げる四つの選択肢
どうする?
面談では、担当増、改善した時間、育成した人数など、確認できる実績を示します。転職活動では求人を複数比較し、固定残業代を除いた基本給と超過分の支払い条件を確認します。[s13]
残る道と移る道を同じ基準で比べる
残る道と移る道を、同じものさしで
年収
残業代・賞与の中身をそろえる
働き方
残業・休み・転勤
伸びしろ
3年後の役割と給料の幅
判断軸は年収だけではありません。残業、休み、転勤、次の役割、3年後の給与幅を一枚にまとめると、短期の増額と長期の伸びしろを分けて考えられます。
まとめ
春闘の5%は平均で、定期昇給相当も含みます。[s1] 自分の昇給が小さい理由は、給与テーブルの上限、評価、会社の原資、昇格条件に分けて確認します。
給料を上げるための確認順序
- 春闘の5%は、組合のある会社の平均(定昇も入る)
- 給料は、等級・評価・原資・昇格で決まる
- 残る道と移る道を、同じものさしでくらべる
まず制度と昇格条件を読み、実績を数字で残し、同じ職種の求人と比較してください。社内と社外の条件を同じものさしへそろえることが、次の行動を選ぶ出発点です。
実践のポイント・まとめ
春闘の平均を自分へ直結させない
対象企業、定昇込みか、ベア相当はいくらかを確認して数字を読みます。
次の等級の条件を具体的に聞く
不足する役割と成果を確認し、次回面談までの目標を数字で決めます。
残る道と転職を同じ表で比べる
年収、残業、休み、転勤、3年後の役割と給与幅をそろえます。
求人の固定残業代を分けて読む
基本給、何時間分でいくらか、超過分の支払いを確認します。
出典・参考文献
- [s1] 連合「3年連続の5%超え! ~2026春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果について~」 ↗ jtuc-rengo.or.jp
- [s2] 国税庁「令和7年分民間給与実態統計調査結果について」(報道発表資料、2026年9月) ↗ nta.go.jp
- [s3] 国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」標本調査結果(第10表 年齢階層別、第16表 給与階級別) ↗ nta.go.jp
- [s4] 厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」 ↗ mhlw.go.jp
- [s5] 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」 ↗ mhlw.go.jp
- [s6] 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(4) 企業規模別にみた賃金 ↗ mhlw.go.jp
- [s7] 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(5) 産業別にみた賃金 ↗ mhlw.go.jp
- [s8] 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(8) 役職別にみた賃金 ↗ mhlw.go.jp
- [s9] 厚生労働省「令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」 ↗ mhlw.go.jp
- [s10] 厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査 主な用語の定義」 ↗ mhlw.go.jp
- [s11] 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」 ↗ mhlw.go.jp
- [s12] 内閣官房・経済産業省・厚生労働省「ジョブ型人事指針」 ↗ cas.go.jp
- [s13] 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします」 ↗ mhlw.go.jp
- [s14] 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 ↗ mhlw.go.jp
- [s15] 厚生労働省委託事業「キャリア形成・リスキリング推進事業」(キャリア形成・リスキリング支援センター、2026年10月8日閲覧) ↗ carigaku.mhlw.go.jp
- [s16] 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag) ↗ shigoto.mhlw.go.jp
- [s17] 厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」第6 手数料 ↗ mhlw.go.jp
※ 月3,000円の昇給、架空の会社、給与テーブル、人物、求人は説明用の作った例です。
※ 春闘の数字は労働組合のある企業を中心とした平均で、個人全員の昇給率ではありません。
※ 企業規模・産業別の賃金は平均で、職種、年齢、学歴、地域などの構成が異なります。
※ 転職後の賃金変動は転職した人の集計で、個人の結果を保証しません。